世界薬剤師デーに寄せて〜I care for youの精神〜


世界薬剤師デーに寄せて~I care for youの精神~

広報統括理事 立命館大学4年 小池雄悟 

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医療機関にかかると、そこを出るとき言われる言葉は「お大事に」です。英語にすると”take care”
“care”という言葉は現代における超高齢社会でもしばしば使われる言葉でありますが、”care”とは本来どのような意味なのでしょうか。
『ケアの社会学 -当事者主権の福祉社会へ』という本の中で、著者の上野千鶴子氏はこう述べています。

━━英語圏の「ケアcare」の語源は、ラテン語のcuraに由来し、「心配、苦労、不安」 の意味と、「思いやり、献身」のふたつの意味で使われていた。

地域包括ケアが求められている現在において、この精神はとても大切になってくると思います。
では、そこで薬剤師はどうあるべきなんでしょうか。

9月25日は「世界薬剤師デー」wpd_a4_board_eng_bl
これは2009年9月イスタンブールにおいて開催されたFIP(International Pharmaceutical Federation)の議会において、健康増進に関する薬剤師の任務遂行を奨励するため制定されたものです。
7回目となる今回の世界薬剤師デーのテーマは「Pharmacists:Caring for you
FIP会長のカルメンペーニャ氏は以下のように述べています。
「今年のテーマは国民に医療を提供する上で薬剤師の重要な役割を示し、また患者と薬剤師の感情的なつながりを強調するために選ばれました。薬剤師の役割は、医薬品の提供者からケアの提供者へと変わってきました。薬剤師は、薬物治療のアウトカムにおいて重要な役割を担っており、患者の生活の質の向上に努めなくてはなりません。」(FIPホームページより翻訳)

昨年10月に厚生労働省で策定された「患者のための薬局ビジョン」ではかかりつけ薬剤師としての役割が明示されました。対物業務から対人業務へと薬剤師の仕事がシフトしていく中で大切なこととははなんでしょうか。まさにカルメンペーニャ氏のいう「患者と薬剤師の感情的なつながり」ではないかと私は思います。決して薬を渡すことではなく、その患者の問題を解決してQOLの向上に努めることができる薬剤師に必要なものが「思いやり」や「献身」の精神ではないでしょうか。患者の心配や苦労、そして不安を取り除くことができる存在こそ、地域の健康サポート薬局における薬剤師の最たる役割ではないかと思います。

私たち薬学生は薬理学をはじめ薬物動態学、製剤学など薬が人の中でどのようになっていくのか、どのような作用を及ぼすのかを学んでいます。100年の悲願と言われた薬学部6年制教育の恩恵にあずかっている私たちは、薬そのものを学んでいるのではありません。薬を通した「医療」を学んでいます。その先には必ず人がいます。
これから「医療」という言葉はますます広義な言葉になっていくでしょう。
CureからCareへと言われていますが、careは、「careする側」だけではなく、必ず、「careを受ける側」のことを考えなくてはなりません。それぞれの職種がそれぞれの武器を持って、同じアウトカムに向かっていくことが今求められているのではないでしょうか。
地域における健康、ひいては生も死も含めた幸せをつくりあげていくことが我々のミッションだと思います。

“I care for you”
それは地域の住民から信頼してもらう言葉であるとともに、地域の健康に対しての責任を示す言葉。

Happy World Pharmacist Day!!