第2回 薬学生意識調査

スポーツファーマシストに関するアンケート調査

【目的】
公認スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する認定薬剤師です。今回の調査では今後の活動指針とするために、スポーツファーマシストに関して、学生にどこまで理解が進んでいるのかを主な内容としました。

【方法】
このアンケートは2017年5月21日に行われた日本薬学生連盟関西支部新歓でgoogle formを用いて 匿名で実施しました。回答者は56名(薬学生52名、医学部生2名、理学療法学生1名、その他1名)でした。

新入生歓迎会での調査だったため、学年は1年生25名、2年生17名、3年生8名、4年生6名と、回答した学生は低学年に傾いていました。男女の比率はほぼ同率でした。質問は13項目あり、記述式の質問では複数回答可、そのほかの質問はすべて選択式でした。

【質問事項およびその結果】

 

質問1で「はい」と答えたのは全体の42.9%で した。
スポーツファーマシストを知った時、プラスの印象を持つ学生が多くいました。なぜ知らなかったのかという質問に対しては知る機会がないという回答もありました。

1ではいと答えた方に質問です。知った時どう感じましたか?
・ドーピングのイメージが一番強い

・具体的に何をしているかよくわからない

・スポーツ選手のQOLを上げるサポートをする薬剤師?

・スポーツに従事する仕事もあるのか!意外だ!

・選手やサポーターにとって、とても心強い!

・薬剤師凄い!そんな人いるのか!かっこいい!

・オリンピックに向けて頑張って欲しい

・ドーピングとか確かに薬剤師何かできそうだ

・スポーツ選手×医療分野にこんなものもあるのか!

・うっかりドーピングをしてしまうアスリートが減ったらいいな

 

1でいいえと答えた方に質問です。なぜ知らなかったのですか?
・知識不足

・聞いた事ない、知る機会がない

・分からない

・聞いたことはあるが、意味を調べなかったから

・一年だから

・興味が無かったから

 

2:スポーツファーマシストはどこにいると思いますか?
・病院、スポーツ病院

・薬局

・リハビリ科、リハビリセンター、福祉施設

・ジム、スポーツ施設

・各スポーツ関連団体

・プロスポーツチーム、実業団、オリンピアン育成所

・スポーツ学部がある学校、大学、部活動

・いつもアスリートの側にいる

・スポーツメーカー

・オリンピックなど競技大会会場

・全国、世界

・IOC

・WHO

・厚生労働相、保健所

・特になし。わからない。

 

3:スポーツファーマシストの仕事は何だと思いますか?
・スポーツ選手やスポーツをする人の健康管理、運動機能維持、向上サポート、ケアマネジメント

・スポーツでの怪我などをコントロール

・スポーツ外傷などに対する手当

・選手が服用する薬が、スポーツに支障がないかをチェックする、サプリメントの調整

・スポーツ選手がドーピングに引っかからない様に確認・指導し、薬を渡す

・スポーツマンの薬に関する相談を受ける

・スポーツ選手の服用薬管理

・運動をする人のための薬を考え、処方、提案する

・選手の健康を、特に薬で管理する    ドーピングに対する監査、検査

・ドーピング禁止啓発。うっかりドーピングを防ぐ

・リスクケア

・投薬後の指導

・スポーツ選手の補助

・スポーツを調べる

・スポーツ援助

・スポーツでの医療

・スポーツの現場で働く

・スポーツの体への影響を研究したり、薬の効用が変わるかを実験したりする

・わかりません

質問4では「1000人」の選択肢を選んだ人が22名と一番多かったです。2016年度の実際の認定者数とは、かけ離れている数値を選んでいる人が8割以上です。

また、今回の調査では、スポーツファーマシストを今まで意識していなかった学生に対して勉強会を行う際に、どこに重きを置いて話せば良いか分かりやすくするため、次のような質問5・質問6も設けました。

5:スポーツファーマシストが、①どういう職業だとなりたいと思いますか?また、②なりたくない理由は何ですか?薬学生のみ答えてください。
①    メジャーな仕事

・スポーツ選手の健康サポートや体調管理ができるのであれば

・スポーツ選手に対して薬剤を用いてドーピングにならないように配慮した治療を行う場合

・様々なスポーツ大会で、他国の薬剤師などと協力して様々な問題について考え、行動する

・スポーツに特化していてブレなければ

・スポーツ選手のサポートができるならなりたい

・専門性がありやりがいがあるなら

・薬剤師業務もできればなりたい。

・人の役に立つのであれば

・一般の方でも認知される職業だとしてみたい

・社会、地域に貢献している

・スポーツに限らず、たくさんの人の日常生活に干渉できるなら。活躍の場面がより多くなるとなりたい

・給料の高い仕事

・研究するなら


・仕事のイメージがわかない、まだよくわからない・薬剤とは直接関係がない場合・検査をして、違反を見つけてしまったときに、責められてしまうかもしれないから・ドーピングが発覚した場合、スポーツファーマシストだけの責任になるのは嫌だから・そのままでよい・スポーツについてそんなに詳しくない。あまり関心が無いため・移動があって仕事場が安定していない

・国家資格が得られない学科に所属しているから

・別にしたいことがあるから

・専門性が問われそうで今でも大変なのにもっと大変になると思うから

・対象が限定的

質問5より、薬学生はスポーツファーマシストが一般にも周知されており、スポーツに特化した薬剤師業務であればなりたいと考えているようです。また、スポーツ選手に限らず、地域の人々の生活にも干渉できるのであればやりたいという意見もありました。

なりたくない理由としては、「今のままでは対象が限定的であるから」、「リスクへの不安を持っているから」などが挙げられました。

薬学生以外には質問6で、スポーツファーマシストの何を知りたいかについて質問したところ、

「スポーツ業界における薬剤師の存在意義」、「多職種連携がどれだけできるのか、その度合い」

について多くの学生が興味を持っていました。

6:スポーツファーマシストに関してどのようなことを知りたいですか?薬学生以外のみ答えてください。
・スポーツファーマシストのなり方

・理学療法士とどれだけ協力できるか

・スポーツファーマシストが具体的にどのようなことをしているのか、心得、必要性、どこで活躍するのか

・この質問に載っていること

・特にない

以下の7~11項目は、ドーピングやアンチ・ドーピングに対する理解の状況を調べるのが目的です。

 

質問7・質問8より、アンチ・ドーピングの言葉自体を知っていたのは37名、アンチ・ドーピングを中学か高校で授業として学習したのは回答者全体の4分の1と少なく、14名でした。

 

9で「はい」と答えた方は具体的に箇条書きでもいいので教えてください。
・謹慎処分

・出場停止

・棄権

・罰金

・ライセンスの剥奪

・その競技での永久追放など

・大会個人or団体出場禁止

・失格になる

・スポーツ界から追放される。

・今までの記録の取り消し。

・メダル剥奪

・選手権利の剥奪

・自身の健康の破壊

 

10:どんなことでドーピング違反になると思いますか?
・試合前に規制薬物を使用

・禁止の興奮作用のある薬などを飲んで公式の大会に出場すること

・服用禁止の成分摂取

・薬を服用し 筋肉を活性化させる

・筋肉増強剤や、アドレナリンを過剰に分泌する薬を投与する

・特定の成分を含むモノを摂取する

・薬を使って自分の技量以上を身につける

・成績を残すために薬を使う

・身体能力をあげる薬を服用

・薬の服用、風邪薬の服用

・違法ドラッグの服用

・サプリメントの過剰摂取

・ホルモン注射等

・EPO投与

・体力ふやすこと

・酸素を吸収しやすくする作用など、競技に有利に働く薬を飲むこと

・強心剤などを打つ

・規約に沿わない化合物を有するものの摂取

・パフォーマンス能力の上がる成分を含む薬を飲んで、競技に出場した時

・風邪薬などの成分

・特定の物質が検出された時

・違反薬物が尿などから検出されたりする

・アドレナリン、それに似た薬物が尿中に検出された場合

・違反になる物質が検査で検出された時

・規定以上のドーパミンが検出された時

・選手の健康に悪影響を及ぼす違法薬物の使用

・わからない

質問9より、選手がドーピング違反になるとどうなるのか知っていたのは34名で、報道機関でよく見られるような処分の具体名が多く出てきました。
また、選手自身が健康被害を起こすという回答は1件のみでした。

質問10では、どんなことでドーピング違反になると思うか、イメージを回答してもらいました。
パフォーマンス向上を連想させるような物質名が多く挙がりましたが、今回の回答からはそれら禁止物質を服用するだけでドーピング違反だと認識しているのか、それとも検査で使用が発覚した時点でドーピング違反であると捉えているのかは明らかにはできませんでした。

質問11より、日本におけるドーピング違反は年間平均して30件以内であると予想する人が半数でした。

質問12で勉強会やイベントに今後参加したいと答えたのは38名、質問13で将来スポーツに関わる仕事をしたいと答えたのは12名でした。

調査結果より「ドーピングによる健康被害の甚大さ」以外の面が独り歩きしているようにも見えました。ドーピングはスポーツの基本である公平さや固有価値を守ることに対して重大なルール違反であり、副作用によって選手の健康に影響を及ぼします。だからこそ、「アンチ・ドーピング」なのです。

【考察 】

今回の調査よりスポーツファーマシストについて認知度は低いものの、スポーツファーマシストに関心を寄せている学生は多いことが分かりました。まずは薬学生が率先してスポーツファーマシストについてのイベントを企画し、理解を深めていく必要があると思いました。更に、薬学内だけで完結させるのではなく、ほかの学部の学生にもスポーツファーマシストについて情報共有し、認知度向上を図りたいと思いました。
神戸学院大学薬学部 二回生 横山夏季