#3「薬物乱用のイメージが医療麻薬にもたらす思いがけない弊害とは」

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皆さんは、麻薬に対してどのようなイメージをもっていますか。

近年では多くの小中学校、高校で薬物乱用防止教室が開催されており、その中で「依存性があり、自分自身やまわりの人を不幸にするもの」ということを学んだという方も多いのではないでしょうか。麻薬は、強い精神依存と身体依存を引き起こし、耐性を形成しやすい薬物です。そのため、麻薬の所持や使用は法律で厳しく制限されています。平成19年から平成29年の薬物事犯検挙人員数をみると、覚せい剤が約10000人~12000人で最多であり、次いで大麻が約1600人~3200人、そして麻薬・向精神薬が約340人~600人の間で推移しています(厚生労働省資料https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000339982.pdf)。

その一方で、麻薬は、がんの疼痛管理など、患者の苦痛をとるうえで重要な薬でもあります。医師の管理の下、鎮痛の目的で適正に使用すれば依存状態にはならないことが知られています。また、痛みを訴える患者のQOLの改善も期待できます。しかし、「麻薬を使うと寿命が縮む」「麻薬は一度使ったらやめられなくなる」といった誤った情報や印象をもつ人の少なくないのが現状です。このような誤った知識によって、医療用麻薬の使用をためらったり、拒否したりする患者に出会うこともあるかもしれません。

さて、6月26日は、世界保健機関(WHO)の定める国際麻薬乱用撲滅デーです。また、今年は6月20日から7月19日が「ダメ。ゼッタイ。普及運動」の期間として設定されており、全国各地で啓発イベントが開催されます。この機会に乱用薬物としての麻薬を根絶し、医療用麻薬に対する正しい知識を普及させるために、できることを考えてみませんか。

(東邦大学5年・川口悠里江)