看護学生×薬学生で本音トーク!(2)『これからについて考えること』
【執筆・編集】城西国際大学5年:中島綾、東邦大学2年:小林幸恵
※この座談会は2018年12月に行われました。対談者の所属や学年は2018年当時のものを記載しております。
【対談者】
北里大学看護学部看護学科4年:清水えりな
国立看護大学校看護学部看護学科2年:滝澤真衣
明治薬科大学薬学部生命創薬科学科1年:小倉由末佳
(続き)
Q4.もしも今の学部にいなかったら?
滝澤:経済学部や商学部を受けてみたいです。違った面から医療にかかわってみたい。
清水:私は芸術系かな、演劇とか。一つの夢なんですけど、医療について演劇を使って学ぶことができるようになるといいなと思っていて。例えば認知症の方の支え方を、演劇を見て学ぶとか。演じる側も認知症の方の気持ちを学ぶことにつながるので面白そうだなと思っています。
小倉:私は迷わず看護です。(笑)
薬学部と併せて受験したので、今の大学に受かってなかったら看護学部に行っていたと思います。今でも行きたかったなと思うことがありますよ。(笑)
岩﨑:ほかの学部や職業を考えても、みなさん何かしら医療とつなげているところが面白いですね。
清水:そうですね。私は一度、薬剤師と看護師のダブルライセンスを持っている方にお会いしたことがあるのですが、病棟でとても重宝されているみたいでした。
小倉:それはすごいですね。看護師と薬剤師をうまく繋いでくれそう。
Q5.相手の学部の理想的な将来像は?
小倉:AIが普及してきて、機械ができる仕事は機械に任せてしまおうという話が出てきているので、薬剤師が活躍できる場所はどんどん変わっていくように思います。
岩﨑:国外には、薬を取り出すことを専門の仕事とするテクニシャンと呼ばれる人がいて、薬剤師は服薬指導などの専門的な領域をメインでやるという制度の国もあるようです。
滝澤:まだ実習に出ていないのではっきりとはしませんが、ジェネラリストと呼ばれる、どの分野にも対応できる看護師になりたいとは思います。友達の中には、特定分野専門の看護師になりたいという人もいます。
岩﨑:そうなんですね。薬剤師にも分野ごとの専門薬剤師制度があり、認定を受けているスポーツファーマシストなどのスペシャリストがいます。
清水:理想像とは少し違うかもしれませんが、キャリアとかライフビジョンって考えたりすることはありますか?
小倉:薬剤師は資格さえ持っていれば一度職を離れても復帰しやすいのかなという感覚がまだあります。
岩﨑:ただ、6年制になって卒業するのが2年遅くなったので看護学部を選ぶ方が増えているという傾向もあるようです。
小倉:看護学部では看護師の資格以外に助産師の資格を取ることができると聞きました。
清水:そうですね、併せて取る人は多いと思います。持つ資格が2つになるので働く選択肢が増えますし。
滝澤:私の学校でも助産師の資格を併せて取ることができますが、4年生の夏休みを活用して実習を受けなければならないので時間の作り方が大変みたいです。
(※助産師資格を得るためのカリキュラムは卒業単位とは別で組まれている大学も多いようです)
岩﨑:看護学部の大学院ではどのようなことをしているのでしょうか?
清水:専門認定を取るために学ばれる方もいれば、看護教育を専門にするために学んで臨床に戻る方、研究の道に進む方など様々です。
小倉:4年制の薬学部は院に進むことを前提にカリキュラムが組まれているのでほとんどの方が院に進みます。大学によっては学部課程で理科の教員免許が取れるところもあるみたいです。
(※2019年現在、教員免許が取得可能な薬学部は全国にいくつか存在するが多くが4年制課程であり、全体数も減少傾向にあります)
ー将来像ははっきりしないままですが、看護師、薬剤師ともに病院に限らず活躍できる場所は多岐にわたります。実習など経験を通してそれぞれの職の在り方を考えることになりそうです。
Q6.今回の対談の感想とこれからの展望について。
岩﨑:看護学部は増えている印象がありますが、看護師不足は続くのでしょうか。
清水:看護師があふれる、という話は最近よく耳にします。将来的には免許を持っていても病院では働けないとか。
岩﨑:薬剤師もそれは同じような話を聞きますね。既に飽和状態になりつつあるといわれていて、就職が以前と比較すると難しくなってきているということを聞いたことがあります。薬剤師という資格に加えて、そのうえで何が出来るかが重要視されてくるのではないでしょうか。
清水:そうですね。今回の対談を通して、お互いの専門性や職種についての理解が深まりました。特に鬼門科目についての話は面白かったですね。共通の部分もあれば、専門性に関わるということで、より深く学んでいる部分もあることが分かりました。
小倉:私も鬼門科目の話が面白かったです。
滝澤:薬学部に対するイメージが具体的になったので良かったです。普段は看護学部のことしか知ることができないのですが、ほかの学部のことについて考えるいい機会になりました。
ー2025年問題を目前とし、これからの医療現場に立つ私たち。お互いの職能の理解と専門性+αが求められていくこれからの医療の世界に踏み込んでいくにあたり、今回の対談が糧になることを願います。