皆さん、2月17日~23日はアレルギー週間であることを知っていますか?
1966年2月20日、米国デンバーにあった小児喘息研究所の免疫部長であった石坂公成先生と妻照子夫妻が、ブタクサによる花粉症の研究を通してIgE抗体を発見し、米国アレルギー学会で成果を発表しました。日本アレルギー協会はその成果を称え、2月20日を「アレルギーの日」、2月17日~23日を「アレルギー週間」としました。現在は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などを使用したアレルギー治療がありますが、石坂夫妻が研究を発表する以前はそうではありませんでした。以前は、アレルギー性疾患は個人の体質によるものだと考えられ、アレルギー症状の発現には関与しないと考えられていました。戦前まではアレルギー症状を呈する人は「病弱な人」という印象でしかなく、アレルギーという概念はありませんでした。しかし、石坂夫妻がIgE抗体を発見したことにより、アレルギー症状がどのように起こるのかが分かってきて、様々な治療法が生み出されてきました。
例えば、「アトピー性皮膚炎の皮膚のかゆみ」に対しては抗ヒスタミン薬を使用します。「アナフィラキシーショック」ではエピペン(アドレナリン自己注射薬)を自分で注射します。また、アレルギーによって炎症が起きてしまった場合には「ステロイド薬」を症状によっては用いることがあります。ただし、「ステロイド薬」は長期間継続的に使用すると胃腸障害や感染症、成長障害などの副作用が出現することがあります。
現代人の多くは、花粉に対するアレルギーを持っています。日本耳鼻咽喉科学会が行った鼻アレルギーの全国疫学調査2019年によると、花粉症の有病率は2019年においては42.5%で、約2.5人に1人の割合でした。また、同調査によると若年層に多いことが分かります。
アレルギーと一口に言っても一種類だけではなく、Ⅰ型~Ⅳ型まで存在します。IgE抗体が関与するのはⅠ型で、身近な例としては、気管支喘息、じんましん、アレルギー性鼻炎があります。また、1度は耳にしたことがあるかもしれない、「アナフィラキシーショック」も含まれます。「アナフィラキシーショック」は、アレルギーの原因物質(ハチ毒や食物)が血流に入って全身に回り、消化管から吸収され、血管拡張による血圧低下、気管平滑筋の収縮によって引き起こされます。症状としては、呼吸困難、嘔吐、かゆみやじんましんがあります。現在は「アナフィラキシーショック」に対して、エピペンを注射するなどの対処法がありますが、そもそも「アナフィラキシーショック」を引き起こさないように、体内にアレルギー物質を取り入れないように気を付けましょう。
2021年度プロモーション部 スタッフ
参考文献
・鼻アレルギーの全国疫学調査2019|日本耳鼻咽喉科学会|https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/6/123_485/_pdf/-char/ja
・アレルギーの日・アレルギー週間|公益財団法人日本アレルギー協会
https://www.jaanet.org/week/
・アレルギーについて|アレルギーの治療について|アレルギーポータル
https://bit.ly/3nNxIdE