#15「UHCがなぜ話題なのか?」

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【UHCとは】
UHC(Universal Health Coverage)とは、「すべての人が適切な予防治療、リハビリ等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態」のことです。つまり、お金に困ることなく、誰もが質の良い医療を受けられる状態のことを指しています。
そして、UHCの達成はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のターゲットの1つであり、この実現のために世界では多くの議論が行われています。

近年、UHCは世界保健デーにおいて2018年のテーマとなっていたり、同年に開かれた「プライマリーヘルスケアに関する国際会議」では議題として取り上げられたりしています。
さらに、2019年に国連が「UHCに関するハイレベルな会合」を開催したことでその関心はますます高まりを見せています。
そして毎年12月12日のUHCデイでは、保健システムの必要性について認識を深めるイベントが日本を含む世界各国で開催されています。

このコラムが今までUHCを知らなかった方はもちろんのこと、すでに知っている方もUHCについて改めて考え直すきっかけになれば幸いです。

・日本の取り組み:https://bit.ly/2PsuFam
・UHCとは:http://uhcday.jp/about-uhc/
・UHCのmission(英語):https://www.uhc2030.org/our-mission/
・UHCの企業の役割:https://bit.ly/34oDje9


【日本の恵まれた環境の背景】
保険制度の整っている日本は、国民のほとんどがお金に困ることなく保健医療サービスを受けることができます。また、日本は世界有数の長寿国と言われています。なぜなら、日本は比較的早い段階でUHCを達成したからです。

では、なぜ日本はそれを達成できたのでしょうか。その要因は2つあります。
1つは“国民皆保険制度”の確立(1961年)です。この確立によって誰でも、いつでも保健医療を受けることが可能になり、国民の医療における経済的な負担が激減しました。また、それに伴い医療需要が大幅に増大したのです。それが要因の2つ目である“医療アクセスの改善”と関係しています。
医療需要の増大により問題視されたのが、医師不足です。この問題に対して国がとった政策は、“一県一医大構想”というものでした。田中角栄元首相は「医師が足りないのなら、今、医大のない県に医大を造ろうじゃないか!」と政策を立てました。その結果、国民皆保険制度の導入前(1961年)の医学部数は46校、定員数は2840人でしたが、導入後の1979年には医学部数は80校(私立大学含む)、定員数は8280人と大幅に拡充しました。これにより、医師が増え保健医療へのアクセスが改善されたのです。

日本がUHCを達成した背景にはこのような歴史があり、この学びや政策を達成していない国々に共有することも世界における日本の役目だと言えるでしょう。


【日本における国民皆保険制度の現状】
国民皆保険制度は日本のUHC達成にも寄与しました。この制度のおかげで国民は「誰もでも」「どこでも」「いつでも」医療を受けられるようになり、日本は世界有数の長寿国となったのです。
しかし、この制度が日本の医療費問題において頭を悩ませる原因になっているのも事実です。日本の医療費は年々増加し続け国民皆保険制度の維持が危惧されています。
この問題は「日本のトップの方々に任せた!」と他人事にできることではなく、私たち一人ひとりが医療費の節約を意識しなければいけません。

薬学業界でもこの問題に対しての数々の取り組みを行っています。例えば、私たちに最も身近な医療費削減は、セルフメディケーションではないでしょうか。
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。
軽度の頭痛で毎回病院に通うのは、金銭的にも時間的にも難しいですよね。こういう時は、薬局やドラッグストアで薬を購入し、治療します。これもセルフメディケーションです。
薬を自分で選ぶなんて、と思われるかもしれませんが、そこは是非薬剤師さんを頼りましょう!症状にあった薬を提案するだけでなく、薬ごとの細かな違いなども伝えてくれるので、薬選びの参考にできます。

この他にも薬剤師は、残薬管理やジェネリック医薬品の推奨などの面で、医療費削減に貢献しています。皆さんも一度調べてみると面白いかもしれません。


【最後に】
お腹がすいたらすぐにご飯が食べられて、水道から出てくる水は安全で、すこし歩けば病院があって、必要ならばすぐ薬をもらえる。
これらはすべて私たちにとっての日常で、ごく当たり前のことですね。
しかし、世界にはその“当たり前”が出来ず尊い命が失われている現実があることを忘れてはいけません。
世界中の人々が思う“当たり前“のギャップをなくすことが、SDGsの中の”UHCの達成“に込められたメッセージなのではないかと私は考えています。


 “What I feel about the partnership [UHC2030] is that it is not the work of one person or one organization to do this. It is unique that various partners can work together to bring their knowledge, their intelligence, and evidence from country levels and share with others about how you can work better to improve the health of the people”

Kaorsar Afsana, BRAC in Bangladesh
・BRACとは:https://bit.ly/34rTJ5i

SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成され、持続可能な世界を実現するための国際目標として定められました。この目標は決して発展途上国のみを対象としているのではなく先進国自身も取り組む全般的なもので、日本も積極的に活動しています。
日本がどのような取り組みを行っているのか、詳しくは下のURLからご覧ください。

・SDGsについて:https://bit.ly/2PT7xRh
・SDGsとは?:https://bit.ly/2rPL8MF
・日本の取り組み:https://bit.ly/38HBtbr

日本薬学生連盟では、団体の集大成である年会(2019年度)にて、SDGsについて考える企画を用意しております。薬学生同士でSDGsについて学び、語り合える貴重な機会になることでしょう。
皆様とお会いできることを楽しみにしています。

東邦大学2年 小林幸恵