#17「ワールドキャンサーデー2020/02/04」

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【2/4はワールドキャンサーデー】

現在日本を含め各国では、国際対がん連合(UICC)が主体となり、がんの制圧に向けた活動を展開しています。「2人に1人ががんにかかる」といわれるこの時代、皆さんの周りにも、きっとがんを経験したという方がいるのではないでしょうか。

実務実習で臨床の現場に出てみると、がんと闘う患者の多さに驚きます。そして、患者背景の多様さにも。例えば、私より少し年上の社会人の方や、小さなお子さんをもつお母さん、そして70歳を超えたおじいちゃんなど。もちろん、患者が抱えている課題も様々です。ひとくちに“がん”といっても、一人として同じ患者はいないと実感させられます。

病院実習中、私は高齢者に対する化学療法について、疑問を抱きました。抗がん剤を複数組み合わせて投与する化学療法は副作用のリスクが高く、「体力の落ちている高齢患者には負担が大きいのでは?」と感じたのです。

調べてみると、高齢のがん患者の身体機能を客観的に評価するスコアが開発されていることが分かりました。(日本がんサポーティブ協会編,高齢者がん医療Q&Aよりhttp://jascc.jp/about/publications/#elderly

このようなスコアの評価項目は身体機能、認知機能、社会的サポート、栄養状態などをカバーしていました。そのため、化学療法実施の可否を判断する際も医師や薬剤師のみならず、理学療法士や栄養士、ソーシャルワーカーなどの力が必要なのではないかと考えました。

また、がんの治療では、年齢層によって必要なサポートが変わってきます。一般には小児、AYA世代(Adolescent and Young Adult=思春期や若年成人)、中年以降、高齢者に分けられ、それぞれ社会的地位や身体機能などが異なるため支援内容も変えていく必要があるのです。

がんを取り巻く問題はまだまだあります。次々と開発される高額な抗がん剤、重篤な副作用、疼痛管理や緩和ケア……。すべての課題にいちどに立ち向かうのは難しいかもしれません。でも、何か一つ、興味のあるものを見つけて掘り下げてみませんか。医療従事者をめざす学生一人ひとりが各々の視点で知識を深め、医療の現場に持ち寄ったら、きっとがん治療はより良いものになると思います。

(東邦大学5年 川口悠里江)

【参考サイト】

・ワールドキャンサーデー:https://www.worldcancerday.jp/

・UICC日本委員会:https://www.jfcr.or.jp/UICC/index.html