年明け最初のAXIA-WEB-ではタイムリーな話題をお届けします。
年明けとともに爆発的な勢いで広がる、新型コロナウイルスによる肺炎。当初は中国湖北省の武漢だけでしたが、2020年1月末には日本においてもヒトヒト感染が確認されました。SARSやMERSに比べると致死率という観点では低いですが、SARSやMERSは日本においてまとまった感染者は見られませんでした。今回は致死率が低いからこそ感染拡大リスクも大きいと考えられます。コロナウイルスの感染経路はインフルエンザと同じく飛沫感染です。つまり、せきやくしゃみ等による飛沫や近距離での濃厚接触による感染が主な要因になります。何か予防策はないのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのがマスクの着用だと思います。実際、すでに日本のドラッグストアでは大量販売や急ぎの購入を行う人の姿が目立っています。マスクを着用することで公共空間での感染リスクから自分を守るため、マスクの爆買いに出かける前に少し立ち止まってください。その感染対策、本当に意味があるのでしょうか。
マスク着用によるインフルエンザウイルス感染予防に関する調査を紹介します。詳しい内容はリンク先よりご確認ください。https://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20171024085000.pdf
この調査では、マスクの着用有無における感染予防効果に有意性を見出すことはできず、医療関係者など頻繁に患者と接触する機会のある場合はともかく、市井での感染予防に効果があるとは言えないようです。
また、WHO(世界保健機構)では、2009年の新型インフルエンザ対策において次のようなマスク着用アドバイスを出しています。全文が気になる方はこちらからご参照ください。
(Advice on the use of masks1 in the community setting in Influenza A (H1N1) outbreaks :https://www.who.int/influenza/preparedness/measures/Adviceusemaskscommunityrevised.pdf)
“In the community, however, the benefits of wearing masks has not been established, especially in open areas, as opposed to enclosed spaces while in close contact with a person with influenza-like symptoms.”
“Using a mask incorrectly however, may actually increase the risk of transmission, rather than reduce it.”
WHOとしても、公共空間での感染予防に効果があるわけではなく誤ったマスクの使い方がむしろ感染リスクの増大につながることを示しています。誤ったマスクの使い方としては鼻を覆わず口だけを隠す、密着させずに間隙がある状態で使うなどがあげられますがやってしまいがちなのがマスクのポジション直しではないでしょうか。ずれたマスクが気になり位置を戻す行為、この行為もまた感染リスクを増大させています。マスク表面に触れた手で目や口をこする行為は、使用済みの空気清浄機のフィルターを逆さに付けて汚染された空気を自ら取り込むようなものです。ある程度使用したマスクは新品に取り換え、清潔に保ちましょう。そして、その前に基本中の基本であり、今のところ最も有効な手段の一つである手洗いうがいの習慣を身に付け、これからも共存するインフルエンザの予防にも役立てましょう。医療を学びながら自分自身が率先して不健康になっては元も子もありません。マスク確保の前にハンドソープの確保です。
・正しいマスクの使い方と衛生的な手洗いの方法
日本政府インターネットテレビ
~インフルエンザ予防のために~手洗い・マスクのススメ~
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7362.html
・新型コロナウイルスのQ&A:WHO
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-coronaviruses
(2019年度PR委員長)
※このコラムは2020年1月31日に書かれたものです。現在では状況が変化している可能性があることをあらかじめご了承ください。